賃貸の退去後、クロスと床はどこまで替える?1面・1室・空室全体で変わる費用の考え方

退去が決まって、いざ内装を見に行くと、「クロスは全部替える?それとも汚れた壁だけ?」「床も一緒にやるべき?」と手が止まることがあります。

工事の範囲は、そのまま費用の大きさになります。しかも、範囲の決め方に正解の型があるわけではありません。この記事では、賃貸の原状回復でクロスと床をどこまで替えるかを「1面・1室・空室全体」の3段階に分けて、費用のイメージと判断のしかたを整理します。

クロスと床の工事範囲は「3段階」で考える

退去後の内装工事は、大きく次の3つの段階に分けると考えやすくなります。

  • 傷んだ面だけ:汚れや破れがある壁の1面だけを張り替える
  • 部屋単位:その部屋の壁と天井のクロスをまとめて張り替える
  • 空室全体:クロスと床、ハウスクリーニングまでを一度に仕上げる

当たり前のようですが、どの段階で頼むのかを先に決めておかないと、見積もりの金額を見ても高いのか安いのか判断できません。同じ間取りでも、段階が違えば金額が大きく変わるからです。

クロス工事の広さの3段階。傷んだ壁の1面だけ、その部屋のクロス全体、空室まるごと

範囲が違うと、金額はここまで変わる(当社の実績)

大家さんの内装屋の料金表ページでは、お受けした工事の実績を間取り別に公開しています。工事代金の中央値(税抜)を見ると、間取りの順に高くなっているわけではありません。

  • 1K:約47,000円 / 1DK:約30,000円
  • 1LDK:約119,000円 / 2DK:約46,000円

1DKが1Kより、2DKが1LDKよりも安いのは、集計の誤りではありません。金額を決めているのが間取りではなく「どこまで工事したか」だからです。1室だけクロスを張り替えるご依頼と、空室を丸ごと仕上げるご依頼が、同じ間取りの中に混ざっています。当社の料金表では、同じ3LDKでも工事の範囲によって費用が数倍変わることがあると説明しています。

なお、この実績の工事代金にはクロス以外(クッションフロア・畳・襖・ハウスクリーニングなど)の工事も含まれています。「クロス張替えの相場」そのものではなく、範囲による幅を知るための数字として使ってください。

クロスは「面」で決めるより、メートルで決める

クロスの単価は、1メートルあたりで決まります。スタンダードクロスは、WEBからのお申込みで1メートルあたり1,088円(税抜)です。めくり代・下地処理代・残材処分代が含まれています。

クロスは幅90cmの巻物なので、貼る面積(㎡)を0.9で割ってメートル数に直します。料金表に載せている計算例では、施工面積33.3㎡の場合、33.3÷0.9で約37メートル、37メートル×1,088円で40,256円(税抜)です。面積の出し方は、クロスの平米計算の方法で図入りで説明しています。

1面だけ張り替えるときに知っておきたいこと

傷んだ壁1面だけを張り替えると、メートル数が減るので総額は小さくなります。ただ、都合の悪い点もあります。同じ品番のクロスでも、貼ってから年月がたつと日焼けなどで色が変わります。新しく貼った1面だけが、周りと違って見えることがあるのです。

そのため、汚れが複数の壁に広がっているときや、色の差が出やすい白系のクロスのときは、1面ずつ直すより部屋単位でまとめたほうが仕上がりをそろえやすい、というのが現場の判断です。逆に、傷みが1か所に限られていて、周りもまだきれいなら、1面だけで済ませる選択もあります。

張り替える種類を増やすと、単価の段が変わる

アクセントクロスを入れて種類が増えると、1メートルあたりの単価も変わります。スタンダードクロスは、3種類以上をお選びいただく場合は1,248円、7種類以上では1,388円です(いずれもWEBでのお申込み・税抜)。きれいに見せたい気持ちから種類を増やしすぎると、総額が上がることがあります。

床は「上に貼れるか」で費用の読み方が変わる

床材は、クロスと違って面積(㎡)で単価が決まります。当社の料金表では、クッションフロア(CF)が1㎡あたり3,980円、フロアタイルが6,999円、カーペットが6,190円(いずれも税抜)です。

ここで注意したいのは、この単価が「既存の床材の上に貼れる場合」の料金だということです。たとえば6㎡の洗面所にクッションフロアを上貼りするなら、3,980円×6㎡で23,880円(税抜)が目安です。しかし、古い床を剥がして張り替える場合は、別途、処分代や下地処理代がかかることがあります。

つまり、床だけは写真を見ても金額を確定できないことがあります。浮きやへこみがあるかどうかを現地で確かめてから決まる部分です。床を含めて依頼するときは、「上貼りで済む前提の金額なのか」を見積書で確かめておくと、あとで金額が変わる驚きを減らせます。

クロスと床の単価の違いを比べた図。クロスはメートル単価、床材は平方メートル単価で、床は上貼りできる場合の料金

畳と襖は、クロスと同時の工事が条件

和室のある物件では、もう一つ決まりがあります。当社では、畳の表替えと襖の張替えは、クロス張替えと同時施工の場合のみお受けしています。畳の表替えは1畳あたり3,780円、襖の張替えは1枚あたり2,800円(税抜)です。

畳や襖だけを単独で頼みたいという場合はお受けできません。和室を整えたいときは、クロスの工事と一緒に日程を組むことになります。

どこまで替えるか迷ったときの3つの質問

最後に、範囲を決めるときの順番を3つの質問にまとめます。

  • 傷みは広がっているか:1か所なら1面、複数の壁なら部屋単位を考える
  • 床は上貼りで済むか:浮き・沈み・めくれがあれば、先に現地で確認する
  • 誰が費用を負担するか:入居者への請求の有無は、契約書と国土交通省のガイドラインを確認し、管理会社や専門家に相談する

クロスと床のどちらを先に直すか迷う場合は、退去後のクロスと床はどちらを優先するかの記事も参考にしてください。見積書の見方は、クロス張替えの見積もりで失敗しない方法にまとめています。

範囲が決まらないときは、先に見積もりを取る

金額は料金表で公開しています。範囲が決まらない段階でも、間取り図や写真があれば概算を出せます。見積もりのページから、まず現状を伝えてみてください。

見積もりの日程調整から工事完了まで、やり取りはメールで完結します。鍵を現地に設置していただければ、立会いは不要です。ほかの工事の紹介は、大家さんの内装屋のトップページからご覧いただけます。

まとめ:範囲は「1面・1室・全体」のどれかを先に決める

クロスと床をどこまで替えるかは、傷みの広がりと、床が上貼りできるかで決まります。範囲を先に決めてから見積もりを見れば、金額の違いの理由が読み取れます。迷ったときは、現状の写真を添えて相談するのが近道です。